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7月13日~14日 南アルプス 北岳 (広河原より・単独) 

北岳(3193m)山頂より見た富士山

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深田久弥の『日本百名山』における北岳の頁は

「日本で一番高い山は富士山であることは誰でも知っているが、第二の高峰はと訊くと、知らない人が多い。北岳だよと教えても、そんな山はどこにあるかといった顔つきである」
という一節で始まる。

まさにその通リ!
特に山登りを趣味にでもしていないかぎり、日本で二番目に高い山を知らない人がほとんどだ。

ケネディ家が「一番になれ、二番は負けだ」と言っているのもうなずける。

しかし深田は続ける
「(北岳は)屹と天を突くような鋭い頭角をあげ、颯爽として軽薄でなく、ピラミッドでありながら俗っぽくない。惚れ惚れするくらい高等な美しさである。富士山の大通俗に対して、こちらは哲人である」

そう、山好きにとって、この1番と2番の勝負は、圧倒的に2番手の勝ちだ。

今年、富士山が世界遺産に登録されたことで、マスコミなどでは大騒ぎしている。
(あくまでも「文化遺産」で「自然遺産」ではない)
だから富士山はますます混雑しているに違いない。

富士山については以前にも思っていることを何度も書いているが、とにかく富士山が大混雑している隙に、日本第二の高峰に2度目の登頂しようと思い7月13日の深夜1時30分に出発した。


【7月13日】

首都高速を走っている車のほとんどは、輸送関係のトラックか、タクシーだ。
タクシーには終電過ぎまで飲んでいたか仕事をしていたビジネスパーソンたちが客として乗っている。
まだそんな時間帯に高井戸がから中央高速に入った。

右の競馬場と左のビール工場を過ぎればタクシーはグッと少なくなるが、なんだか一般車両が増えてきたようだ。

この日から海の日を含めた3連休。
深夜から観光地に向かう車の多さに、一抹の不安がよぎる。
もしかしたら、いま向かっている芦安の駐車場も大混雑しているのではないか?

いやいや、恐らく4時前には到着するから大丈夫。
スチャっと車を停めて、一番のバスで登山口の広河原に向かうのだ。

ビル・エバンスとかセロニアス・モンクを聴きながら快調に車を走らせる。

甲府昭和I.Cで高速を降りて南アルプス街道から芦安に着いてビックリ。

すでに第一、第二、第三・・・どころじゃない、誘導員のオジサン曰く
「いま第六か第七駐車場になります」だって。
ガビ~ン!
不安的中。

なんとか第六駐車場に停めた。
バスのりばの随分と下だ。

北岳の登山口である広河原へはマイカー規制のためにバスかタクシーしか入れない。
だからバス停まで10分ほど登らなければならない。

うううう・・・・・
まだ朝4時前だよ。
これじゃ富士山みたいじゃんか。
いや、富士山よりは随分マシだけど。

まずは乗り合いタクシーを探すが、すでに満員でダメ。
5時30分発のバスに乗るために並ぶ。
車の割に人が少ないのは、広河原山荘か白根御池小屋に前泊している人も多いからなのだろう。

しかし車は続々とやってくる。
停める場所あるのか?

バスに揺られて広河原には6時半頃到着。
ここは甲斐駒ヶ岳に登った時以来だ。

確か2002年頃までは車で入れたはずだ。
2000年に入ったことがある。
しかし、2003年か04年あたりにマイカーが規制された。

北岳へは、その広河原から吊り橋を渡る。

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北岳の山頂は雲の中で見えないけれど、これから登る予定の雪渓が見える。

広河原山荘前で登山届を出したら登山開始。

大樺沢沿いに左岸を登ってゆく。
途中、斜面の崩壊地は対岸の支尾根で迂回。

しばらくはダケカンバの林の中を歩く。

沢床が見られるようになると雪渓が出てくる。

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雪渓を渡る風がなんとも涼しい。
今年は猛暑だということが、どう考えてもウソのようだ。

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雪渓を左手にしばらく進めば右俣と左俣を分ける二俣に着く。

ここで少し休憩。

今回のルートは雪渓を登って八本歯のコルへと突き上げる左俣へ。

雪渓を横切る。

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しばらくは危険を伴うので左岸の登山道を登る。

振り向けば約1年前に登った鳳凰三山のオベリスクが見えた。

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更に登ると登山道は雪渓に消される。
今年は雪が多かったから雪渓が大きいようだ。

ここでアイゼンを装着する人が多かった。

自分もザックの中には6本爪のアイゼンを装備しているが、大勢が歩いてステップがついているからストック&ツボで進む。
問題はなかった。
しかし、慣れていなければ軽アイゼンを着けた方が良いだろう。

雪渓上部の斜度はかなりのものだ。

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スッテンコロリンの後、もし加速がついて落ちたら・・・・

ピッケルがあればモアベターだね。
(ピッケルは持って来なかった)

このあたりから見えるはずの大岩壁、北岳バットレスは雲の中にかくれてその全容を見ることができなかった。

谷間が狭くなって雪渓が消えると次は小尾根の急登だ。
岩と、木製ハシゴが連続する。

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高度を上げて雲の中に入ると雨。

麓の天気予報は晴れでも、高山の天気は別物だ。

風も強くなってきた。
仕方ないから弱い雨よりも強い風を防ぐためにレインスーツの上だけ着る。

雨で木製ハシゴは滑るからより一層注意して進む。

この雪渓上部と、八本歯のコル手前が、かなり体力を使うところだ。

そしてなんとか八本歯のコルへ。

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うー、風がぁ・・・・

ここで手も露出していると冷えるからグローブ装着。

このあたりから山頂までは花のオンパレード。

花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花

花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花

花だらけ。

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赤白黄紫桃・・・・

たーくさんの可憐な高山植物がこんなガレ場で強風にちぎられそうになりながら咲き乱れている。

何という花なのかは知らないが、北岳は花の名山でもある。
ちなみに世界でも北岳にしか咲かないキタダケソウという花が咲くのだそうだ。
もちろん見たことはないし、少し季節が遅いから咲いていないだろう。

しかし、この天候、特に風では、愛でている余裕はない。


途中で3,000m超え

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奥穂以来かな?

八本歯のコルから吊尾根分岐点へ更に登ると、いよいよ風が強烈になってきた。
このあたりが風の通り道のようで、ちょうどその場にいたパーティーは、きょうはここで撤退し北岳山荘に下りると決めていた。

自分も思案していたが、山頂から下りてきた二人組がいたので様子を聞いた。

風が本当に強烈なのは、このあたりだけで、頂上付近はもっと弱いそうだ。
どっちにしろ頂上を経由して肩の小屋に行く予定だったから、まずは山頂を目指す。

ガレた道を風に飛ばされないようにしばらく進むと、少しだけ風が弱まる。

ひと登りで山頂に出た。

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自分の他に5人くらいの人がいた。

写真の撮りっこをした。

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雨は止んだようだ。
しかし、ガスで景色もなければ風も強くて寒い。

長居は無用。
肩の小屋に向かって下る。


小屋が見えた!

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ありがたい。
テン場も混んでいるっぽい。
(もちろん夕方にはこんなもんじゃなく混んだ)

小屋に着いたら、まずは2階の寝床を確保。
かなりギューギューだったけど、贅沢は言えない。

まずは生ビア!

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900円
高所価格。

生は外で買うから外のベンチでパチリ。
飲むのは中でね。寒いから。

その後、もう1本缶ビールを買って飲んだ。
すると眠くなってきたので、床に寝転がっていたらマジで眠ってしまった。

起きたら夕方の4時。
そういえば昨晩の10時近くに寝て、1時起きでやって来たから睡眠不足だ。
木曜日も朝まで飲んでたしな。

夕飯は4時20分からの順番だった。
腹ペコだったから、たくさん食べてしまった。

その後は寝床で持参したワインやウイスキーを飲んで過ごす。
ご近所さんにも振舞って山談義。
1階のロビー兼食堂は夕飯の人が途切れないから使えない。
しかも、小屋のスペースというスペースはどんどん寝床となってしまうから、寝床しかいる場所がない。

ここ

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まあ、テントよりはましかな。
テント好きの人はこれが嫌なんだそうだけど、歳とるとこっちの方が楽でいい。

それにしても、このような高山で、5時とか6時近くになって山小屋に入ってくる登山者がいることには驚く。
カミナリに撃たれて死にたいのだろうか?
しかも子供連れとか、信じられない。
遅く到着すれば、居場所だって、やはりそれなりの場所になってしまう。
子供が可哀想だ。
十分な知識や装備のない登山は、富士山だけでなくどこでも危険極まりないもんだ。

と、そんな話もしながら飲んでいた。

消灯は9時頃なのだろうけど、一人二人と眠ってしまい、そのうちの一人の大イビキに大笑いしながら、
自分も多分8時ごろには眠ってしまった。

【7月14日】

3時に目が覚めた。

しばらく毛布にくるまっていたが、すでに起きて行動している人も多かった。
昨晩の話だと、きょうの天気も昨日とおおむね同じようなあまりパッとしない天気だという。
頂上に日の出を見に行くという人は少なく、日の出見に行く組と、縦走組以外の人は寝ているようだった。

3時半に起きて、トイレに行きがてら天気を見る。
(北岳肩の小屋は外トイレ)

星は全く見えない。
しかし、遠く韮崎かどこかの街の灯りがかすかに見える。
北岳方面は真っ暗で見えないが、ガスってはいないような気がした。

ダウンを着こみ、レインウェアを腰に巻き、登山靴を履いた。
真っ暗な岩場をヘッドランプの灯りで山頂に向かう。

先行者のヘッドランプの灯りが見える。

手前の小ピークで富士山と北岳、日本1位と2位ののツーショット。

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ひと登りで山頂へ。

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夜が白み始める。

寒いけれど凛とした時間。

富士山

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素晴らしい景色が眼前にも右にも左にも後ろにも広がる。

国内で2番目に高い場所からの眺望は圧巻だ。
数々の名峰を同定できる。

だから夜明け前の北岳山頂から、360°のパノラマ動画をどーぞ!




鳳凰三山と、その向こうの奥武蔵の山々に陽が昇った。

南アルプスが目覚めた。

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間ノ岳が朝日に染まる

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富士山も

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甲斐駒ヶ岳

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仙丈ヶ岳

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何度も何度も目に焼き付けた。

小屋で同じゾーンだった30代の若者もいて、感動に打ち震えていた。
まだ山歴3年目ということで、山の名をわかる範囲で教えた。

間ノ岳をバックに写真を撮りあった。

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あまりにも素晴らしい景色を見ていると、いつまでも山頂にいたかった。

しかし朝ごはんも待っているし、下山もしなければならない。
小屋に向かって下る。


山頂直下の花も目覚めた。

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左は女王・仙丈ヶ岳 何度か登った。

右は貴公子・甲斐駒ヶ岳 ずいぶん登った。

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小屋が見えてきた。

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肩の小屋に着いたら、さあ朝食。

あんな景色を見た後のご飯が美味しくないわけはない。
まだ朝の5時半だけど下山に備えて、たくさん食べた。


荷物をまとめて、先ほどの若者と小屋の方に挨拶したら下山開始。

北岳肩の小屋にお別れ。

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朝6時少し過ぎ。

山頂はずっと奥だけど、なんだかガスがかかってきた。

小屋の前からも富士山が見える。

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甲斐駒と仙丈も雲に覆われてきた。

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また強い風が出てきたから、富士山、甲斐駒、仙丈にも挨拶してから、とっとと下る。

そして少し下って振り向けば、北岳は完全にガスってしまった。

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やはり2700m付近から上は荒天のようだ。

温泉と中央高速の渋滞を避けたいがために、どんどん下る。
逃げ足は早い。

黄色い花の群生の向こうが北岳方面。 

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花は多分シナノキンバイ。
間違ってたらゴメンナサイ。

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やがてダケカンバの樹林帯へ。

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更に下ると雪渓が見えてくる。

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上空はすでに雲に覆われ、風と雨の世界だろう。
山の天気の難しさを改めて感じた。

登ってきた雪渓ではないが、近づくと気温が少し下がる。

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二俣に戻った。

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あとは登りでも通ったルートをたどって黙々と下る。
単調だけど、温泉に入るために頑張る。

10時前。
4時間弱で広河原に下りた。

吊り橋を渡り、山頂は見えないが北岳に一例。

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アルペンプラザ方面に歩いていると、乗り合いタクシーがちょうど出発するところだった。
やっぱり早く下山してきている皆さんがすでに乗っていたが、最後の1人として乗り込むことができた。
待ち時間ゼロ。
ラッキーなこと山の如し。

広河原から車を置いてある芦安まで、このタクシーで約1時間。
少しウトウトしてしまったが運転手さんは第六駐車場まで送ってくれた。

芦安温泉郷には評判の良い湯がいくつかあるが、駐車場に近い市営の金山沢温泉へ。

露天風呂でキツかった登りや今朝の山頂で見た大パノラマを思い出しながら、ゆっくりと山の疲れを癒す。
爽やかな涼しい風が吹いている。

至福。
まだ10時台で、風呂には1人だけ。

しばらくしたらタクシーで一緒だった若者2名が入ってきた。
少し話しているうちに人が増えてきたから先に出る。

残念なのは下山後のプハ~っができないこと。
車じゃ飲めない。
無料サービスの麦茶で我慢。

お腹が空いていたから蕎麦を食べようと思ったが、そうめんがあったから大盛りで注文。
蕎麦は東京のほうが絶対おいしいけど、そうめんなら変わらないだろうと思った。

まあ、その思いはちょっと違ったけど、作ってくれたオバちゃんが「特別なのを作ってあげる」って言ってたから、そりゃ美味しいよ。そう、美味しかったよ。普通に・・・

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できればネギはミョウガに、ワサビはショウガにしたらモアベターだね。

南アルプス街道では右手に富士山が見えた。
左斜め後方には甲斐駒が摩利支天を従えているのも見えた。

甲府昭和インターで中央道に入って、小仏トンネルの渋滞前に東京に入るために休憩なしで走る。
すんなりと東京に入ったけど、その先の調布から高井戸までが渋滞していた。

それでも2時少し前には帰宅。

車のドアを開けた瞬間に目眩のするような暑さに襲われて倒れそうになった。
考えてみたら、温泉を出てからただの一度も車の窓もドアも開けてない。
南アルプスのままの心と身体に、東京の猛暑は拷問だ。


この日の朝4時半、日本で二番目に高い場所にいたということが、いつものことだが、まるで夢のようだった。

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辻本孝良

Author:辻本孝良
東京都中央区で会社経営してますがビジネス関係の記事はほぼありません。
山とか酒とかB級グルメとか阪神タイガースとかの、どうにもならないような記事ばっかりです。

50歳を過ぎているというのに志の低いブログでごめんなさい。

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