紅葉の涸沢と奥穂高岳(3190m)

【プロローグ】

登山をかじっている日本人であれば誰もが一度はその目で見てみたいという「燃える涸沢」

9月の半ばに、たまたまお誘いがあったのを機会に大混雑を覚悟でこの目で見ることを決意した。

春のスキーと夏の登山でしか行ったことの無い涸沢。

はたして燃えるような山岳紅葉を見ることができるのだろうか・・

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【10月6日(木)】


夕方、早々に仕事を切り上げて パッキング開始。
8時30分にO君と新宿で待ち合わせて居酒屋で一杯・・・というか5~6杯飲りながら11時発、上高地行きの高速バスを待つ。
10時30分にバスの出発地で更に2名の女子、Wさんと、その友人で同じくWさんと落ち合う。

このバスはWさんが手配してくれた。
もちろん満員。
登山客だらけ。
みんな涸沢かな?

11時少し過ぎに出発したバスは調布インターから中央高速に乗り、談合坂S.Aで最初の休憩。
おしっこ、おしっこ!(飲みすぎだよあんた!バカ2名)

その後は諏訪湖S.Aでもう一度休憩があり、座席は窮屈ながらもなんとなく眠ったり起きたりを繰り返しながら、目が覚めたら上高地だった。
沢渡で乗り替えるのかと思っていたが、ダイレクトに上高地に入れるのはなんとも嬉しい。


【10月7日(金)】

朝5時15分。
さすがに寒い。

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ダウンを着て出発前の準備。

6時前には4名で、きょうの目的地である涸沢を目指して出発。
テントは私とO君が担ぐ。
男組用と女組用。

まずはお決まりの河童橋から穂高岳を望む。

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山頂付近はガスで覆われていた。
しかし、いつ来ても山旅の初めにここからの景色を見ると、胸が高鳴ると同時に武者震いを禁じ得ない。

そう明日はあの山の一番高いところに立つ!

反対方向は焼岳が大きい。

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まだ朝が早いから観光客がいない河童橋。


初めはほぼ平坦な道を往く。
明神岳を見ながら明神へ。

そこを過ぎて徳沢に近づくと前穂高岳(マエホ)の東壁が迫る。

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徳沢で休憩。
井上靖の小説「氷壁」の舞台となった徳沢園。

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そこから更に約1時間で横尾。
ここで槍ケ岳方面と穂高岳方面へのルートを分ける。

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この日は圧倒的に横尾大橋を渡って穂高岳方面に向かう登山者が多かった。
大多数が涸沢に向かうってわけだ。

ここから道幅も狭い山道となるが、まだまだそれほどの急こう配ではない。
左手に屏風の頭の大岩壁を見ながら沢に沿って少しづつ高度を稼ぐ。

屏風岩
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しかしそれでもザックが重く感じられるようになってきた。
酒を持ち込み過ぎかな!?

皆の口数が少なくなってきて、ちょっと登り飽きた頃、本谷橋に到着。

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ここで小休止。

それほど寒くはないけれど、いつものように1枚しか着ていない私は身体を冷やさないように着こんでから、おにぎりを2個食べた。

さあ、ここからが正念場。
キツイ登りが待っている。

女子二人は荷物も少なめで体力もバリバリ。
一方のオジサン二人はダメ。

ああ、えらいこっちゃ。

しかし開けた場所から景色が見えると・・・

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俄然はりきるのだった。

でも、ペースを早めちゃダメ。
バテる。

マエホと吊り尾根が見えてきた。

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更にはりきる。

Sガレを過ぎて少しづつ少しづつ登れば、景色が涸沢的になってくる。

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涸沢槍も見えてきた

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そして、そして・・・・・・


とうとう来たよ。


秋の涸沢だ!


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燃える涸沢・・・・・・・??

あれ?

燃えてないね~・・・・

聞けば、この数日間に降った雪で紅葉は壊滅状態になってしまったらしい。
後からタクシーで上高地まで来た人たちは、運転手さんに
「残念ながら今年の涸沢の紅葉は最低」と言われ、蝶ヶ岳か涸沢か迷ったのだそうだ。

いや、それでもこの景色だ。

別天地であることは間違いない。

色彩を司る山の神様は、今年はご機嫌ななめなのでした。

「また来年おいでってことだね」
「そーだね、そーだね!」

そうだな。前を向いて進もう。

これはマエホ側。
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7月だって滑れちゃう。

さて、なるべく良い場所を確保するためにテン場に急ぐ。

2張がそこそこ近く、なるべく平らな場所を選んで設営。
早く早く!

だって、ビールが待ってる!

ジャーン!

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生ビール800円。
涸沢ヒュッテの名物、おでんと一緒に。

ああ、これぞ涸沢ライフ。
昔はスキー担いで来たけれど、天気の良い涸沢で一日ゆっくり過ごすなんて最高だろうなぁ~
あー引退してーなー。


この日の山小屋は1畳に2名程度の混雑だったらしい。

まあ、その点ではテントはいい。
涸沢の秋は、平日以外だとテントじゃないとダメだな。


ビールを買うのも、ちょっと行列。
約5分程度待ち状態。
テント場の受付も並んだくらいだ。

それから、なんだか知らないけどテレビカメラのクルーも来ていたし、山の雑誌で見たことのある綺麗なモデルさんも登って来ていた。

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しかし、今年のこの紅葉ではねぇ・・・

さて2杯目、3杯目と飲み進むが、実は結構寒い。

なにしろテント張りしている時には雪がチラチラ降っていたくらいだ。
タイツもはいたし、ダウンも着こんだが、やっぱり冷えてくる。

そんなわけで一旦テントに戻り、男二人で脚と頭を互い違いにしてシュラフにもぐり込む。
そして案の定いつの間にか眠ってしまった。

起きたら夕方5時。

女子はなんだか知らんけど簡単なご飯を作って食べていた。

で、オジサン達はというと、また小屋でビールとおでんを買って、持ってきたピーナツやらチーズやらサラミが夕ご飯。

あー、ホントにバカだな。
こんな風にオジサン達の夜は更けていったのだった。

この日の涸沢の様子は動画で。





【10月8日(土)】


目が覚めてProTrekで時間を見ると夜中の3時。
ゴソゴソしていたらO君も目が覚めているらしく、ヘッ電を点けて小用のために一緒に小屋のトイレまで行った。
連れション。

帰ってから、また少し眠り5時起床。

モルゲンロートの穂高を見よう。

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綺麗だー!
昨日と違って空がくっきり、すっきり!


さて、きょうは奥穂高岳(オクホ)を目指す。

今回、頂上に立てれば3度目の登頂だ。
O君も2度目。

そのために、まずは腹ごしらえ。
昨日の夜ご飯にする予定のおにぎりがまだ余っていたから豚汁(インスタント)と一緒に食べた。
他、皆が持ってきた食料を交換などして朝食。

天気は上々、快晴だ。
きょうのオクホの頂上で、どんな景色が待っているのだろう!
我が国で3番目に高い場所。

深田久弥は「日本百名山」の中で徳本峠から見た穂高の山岳景観は日本最高のものとされていたと書いている。
その穂高連峰の最高峰であり、日本3位の3190mは飛騨山脈(いわゆる北アルプス)でも最高峰だ。

最近買ったばかりのサブザック(ノースフェイス製)に防寒具、防寒着、水、地図などなど必要最小限なものを詰める。
女子のうち1名のWさんは、昨日の雪が残っていることも予想されるし、岩登りに不慣れということでテントで留守番ということになった。

というわけで3名で出発。

テント場の裏手から入り、ガレ場のトラバースで高度をあげてゆく。

ここ、ずーっと昔の春にSKIしたっけなぁ。
懐かしいな。

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涸沢槍が一段と大きく迫る。

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振り向けば9月に登った常念岳。

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マエホ北尾根。

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登り始めて約1時間くらいだろうか、いよいよザイテングラードへ。

左の盛り上がっているところ。

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ザイテンの取付きから見た常念岳と涸沢カール

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連続する岩場を四肢を駆使して登って行く。

所々に雪が氷状となって付着していて滑りやすい部分もあった。

だから慎重に登る。

ザイテンに取りついてから約1時間ほどで穂高岳山荘が建つ白出のコルに到着!

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スキーの時はここからいきなりの急斜面を滑降した。
今ではムリ~。

ここで小休止。

小屋前のベンチで寛いでいたら、これからヘリコプターが飛んでくるから小屋の中の土間で休んでくださいと言われたので中へ。

穂高岳山荘の中に入ったのは初めて。
きれいな小屋で、近いうちに絶対に泊まろうと決めた。
ここのコルから沈みゆく夕陽を眺められたら・・・・
2996m・・・・
もう、絶対に泊まる!

さて、これからが本番。
いきなりの直登。
ハシゴとクサリが連続する。

前を行く山ガールが、あまりにも危なっかしいので教えられるような立場でも力量でもないが、ちょぴっとだけ指導。
連れのお兄ちゃんもかなり危なっかしかった。
穂高は、もう少し練習してから来た方が良かったかもね。


槍ヶ岳の穂先が見えれば一気にテンションがあがる。

さらに上は雪が残っていて、集中力が必要。

傾斜がゆるみ右前方に主峰の衛兵ジャンダルム

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が見えてくれば、いよいよ

山頂!

槍ケ岳へ続く稜線

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ジャンダルムと笠ヶ岳

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北穂高岳

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常念岳から大天井岳

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遥か遠き上高地

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一応証拠写真

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証拠写真2

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この景色を何と表現すればいいのかわからない。

わからないから動画で見てね。



ああ、もう帰りたくない!

3人で写真を取り合い、景色を何度も何度も眺める。

しかし、いつまでもいるわけにもいかないし、下で待つWさんもいる。

下山開始。

ジャンダルムへと続く道は難しいルートだ。

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そっちには行かない。

下りも慎重に。

絶景が続く。

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ザイテングラードからの景色も動画で見てね。



さて、いよいよテン場が見えてきてびっくり。

おびただしい数のテント、テント、テント・・・・・・

涸沢ヒュッテには人、人、人・・・・・・

そうか、3連休の初日だ。
きょうがピークなんだ!

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留守番していてくれたwさんも、次々に登ってくる登山者の数にビックリしていた。

テントは恐らく昨日の3倍はあるのではないだろうか。
そして小屋泊は、聞くところでは6畳間に18人!

下山後のビールを買うのに30分待ち。
もちろん、おでんも何でも・・・・

さらに、トイレの行列も凄いことになっていた。

後から聞いた話では、この日の涸沢ヒュッテは過去最高の人出を記録したのだそうだ。

我々は、仕方なく持っているだけの酒とツマミで乾杯。
この日もテラスで飲み始めたが、やっぱり寒い。
早々に切り上げる。

夕方のテン場。

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そして夜。

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陽が沈めば寝る。
陽が昇れば起きる。
携帯電話は繋がらない。
パソコンはない。

山では五感の全てが研ぎ澄まされる。



【10月9日(日)】

上高地へ下山の日。

モルゲンロートの涸沢を動画で




涸沢よさようなら。
また来るよ!


本谷橋までは降る人と登りくる人で、かなりの渋滞。

それにしても涸沢人気は凄まじいと実感。
なにしろ今朝のトイレ行列は、朝の3時頃から始まって40分から50分待ちだと。
男の小の方はいいけど、女子は大変だわ。

ま、われわれの女子は横尾まで大丈夫ってことで下山を開始した。

それにしても急がなければ!
渋滞で予定を大幅にオーバーしている。

何故急ぐのか!?

バスは2時発。
それは大丈夫だ。

急ぐ理由は

岩魚だ!

塩焼き。

昨日の夜、徳沢園でラーメンにするか、嘉門次小屋で岩魚塩焼を食べるか協議の末に嘉門次小屋に決定した。

だから、なんとしても食べなければならない。
下山中も岩魚塩焼きが頭の中をグルグル回っていた。


屏風岩は来た時よりも紅葉が進んでいるように思える。

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横尾まで来れば、ひと安心。
あとはハイキングだ。
長~いけどね。

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横尾でトイレ休憩。
ここでタイツを脱いだ。

あまりゆっくりしている時間はなく出発。

マエホの凛々しい姿もしばし見納めだ。

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少し早歩きで進む。

女子たちに大丈夫かと訊けば、ぜーんぜん大丈夫と・・・
オレなんかより実は健脚なんだよな。

徳沢のテン場もテント、テント、テント。

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そこから猛スピードで明神へ。
明神館を右に進み、橋を渡れば嘉門次小屋だ。
なんとか12時前に着いた。
ここから40分とみて1時10分までに出発すればいいから余裕だ~!

みんな蕎麦と岩魚の塩焼きを注文。

岩魚串刺し職人さん。

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囲炉裏で焼くからウマイ

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待ってました!
塩焼き

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頭からガブリ。

あああああああああ・・・・・・
おおおおおおおおお・・・・・・

山から下りて食べる岩魚・・・・・・

超幸福。

10匹は食べられる。

あんまり美味しくて、燻製もお土産に買った。

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お腹も心も満たされて、大満足で上高地のバスターミナルに向かう。

旅のフィナーレは河童橋から見た穂高の山々。

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あの一番高いところから下りて来たんだなぁ。

景色に感慨もひとしおだ。

山の神は、たった一回目でとんでもない紅葉を見せてなどくれない。

もっと修行して、また来いよとほほ笑みながら言っているようだった。


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【エピローグ】


上高地でちょっと着替えしたり、留守電チェックやらメールチェック。
ああ、現実は厳しい。

2時発のバスに乗り込み、今回は沢渡で乗り換え。

iPhoneでメールへの返信、ツイッターでコメントをいただいた方への返信などなど。
その後ビール2本とワイン。
その後は酔いと心地よい疲労でぐっすり。
中央道はかなり渋滞していたが、そんなこんなで飽きることもなかった。
iPhoneは実に便利だ。

新宿には8時半ごろ着。
運転手さん渋滞の中の運転ありがとう。

みんなのおかげで素晴らしい山行だった。

ああ、山はいい!
山やってて良かった!

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お久しぶりです。
燃えてない涸沢の行はちょっと笑ってしまいましたが、それでも2日目の絶景の連続は思わず嫉妬しちゃうくらい素晴らしいですね。
いつか行ってみたいと思っていましたが、改めてそう感じました。

ちなみに僕もその三連休の最終日に、常念岳以来の登山をしてきまして、赤岳から硫黄岳をぐるっと周ってきました。
好天に恵まれた登山でお互い良かったですね。

予定が合えば、またご一緒できることを楽しみにしています。

タケダ様

八ヶ岳の紅葉はどうでした?
またご一緒しましょうね。
どこか行く時は誘ってみてください。
こちらも良いメンツがそろったら声をかけますね。

何やら北アルプスづいてますね!
私も先日燕岳に行ってきましたよ~。
紅葉はやっぱり全然ダメでした。
それでも、山は楽しい ♪♪ ですね!

ichi 様

ボラにタマネギにご活躍のご様子ですね。

燕も紅葉はイマイチでしたか~
来年はどこか企画しましょう!
それから、忙しいとは存じますが、11月12月も企画しましょう!

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辻本孝良

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東京都中央区で会社経営してますがビジネス関係の記事はほぼありません。
山とか酒とかB級グルメとか阪神タイガースとかの、どうにもならないような記事ばっかりです。

50歳を過ぎているというのに志の低いブログでごめんなさい。

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