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上高地から天下の尖峰 槍ヶ岳へ

「どこから見ても、その鋭い三角錐は変わることがない。それは悲しいまでに、ひとり天をさしている」

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深田久弥は、その著書『日本百名山』の中で、槍ヶ岳についてそのように書いている。

実際、槍の穂先のように尖った姿は、遥か遠くの山からも槍ヶ岳であることがわかるし、近くに寄れば天を突き刺す大槍のド迫力に圧倒されるだろう。

しかし、深田が「悲しいまでに」とか「ひとり天をさす」と書いた槍のイメージは「孤高の山」というイメージに違いない。
悲しいまでに、一人天を刺す山・・・

実は私のイメージも同じだ。
それは、加藤文太郎も、松濤明もこの山の北鎌尾根で消息を絶ったのだというイメージなのかもしれないし、そのサムライのような様子がそう思わせるのかもしれない。

その槍ヶ岳に登った。
昨年の夏に登る予定だったのだが、仕事の都合で行けなくなったリベンジでもある。

槍ヶ岳には、今回とは違うルートで3度ほど登っている。
もちろん、今回も一般ルートからの、夏の登頂だから、加藤や松濤とは危険のレベルが全く違う。
それでも槍ヶ岳は遠く、長いアプローチが必要で、そう簡単には登れないよというような厳しい山だ。
しかし厳しさの反面、その懐は深く、優しく、美しく、スケールは半端ではなく大きい。

今回も、とても心に残る素晴らしい登山だった。

8月7日

同行のO君と、まだ山の経験浅いW君と、夜の10時に新宿集合。
11時出発の上高地行きバスに乗り込む。
両名とも大手企業の責任ある立場なので顔、名前は出せない。

私とO君は既に新宿の「小便横丁」で飲んでいたから、乗り込んだ時点では結構な酔っ払いだった。
だからバスでは良く眠ったような、いや眠ってないような・・・
そんな夢うつつの状態であった。

8月8日

朝6時に上高地着。
あいにくの雨。
身支度して、登山届を出して、槍をめざして出発。
きょうは槍沢ロッヂまでの行程。

バスターミナルから歩いて3分。
上高地では、お決まりの河童橋。

CIMG3266.jpg

しかし、穂高は見えず。

まずは河童橋を渡り、梓川の右岸沿いに進む。
15分ほど遠回りだが、その方が沢も池も美しいということだった。
そして実際に美しい森、沢、池・・・さすが、上高地という景色の連続。

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約1時間と少し歩けば、アルプスの名ガイドだった上條嘉門次が建てた家の後に建つ嘉門次小屋に着く。

これが嘉門次のレリーフ

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嘉門次小屋は囲炉裏で炙られた岩魚で有名なのだが、食べる時間がない・・・
残念。
近くでは岩魚が泳いでいた。

CIMG3283.jpg

うまそうだなぁ・・・
私に食べてくれと言っているような気がするのだがなぁ・・・

明神の橋を渡る頃、雨があがる。
足馴らしは終わりだ。
さあ、ガンガン歩くぜ!

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その前に、明神館で「おいし~い信州リンゴ 200円」という看板に誘惑された。

CIMG3291.jpg

うめ~~
ただの「おいしいリンゴ」ではなく「信州リンゴ」でもない。
「おいし~い 信州リンゴ」を冷たそうな水の中に浮かべて売っているのだ。
商いの真髄を見せられれば、買わないわけにはいかないだろう。

さらに徳澤に向かって歩く。
初日はキツイ登りはない。

井上靖『氷壁』の舞台となった徳澤園。

CIMG3297.jpg

さらに梓川に沿って横尾に進む。

横尾は涸沢から穂高岳への道と、槍ヶ岳への道を分ける。
もし、もう一日休めるならば、槍・穂高とも頂を踏むこともできるのだがなぁ・・・


横尾を過ぎれば、槍沢沿いに進む。
その圧倒的な水量は、山域のスケールが大きいことを物語っている。

CIMG3313.jpg

途中、槍見河原で遥か遠くに槍ヶ岳の穂先を見る。
このコースで最初のご対面だ。
それにしても実に遠い。
本当に辿り着けるのだろうか・・・
そんなことを思いながら、ゆっくりゆっくり、ただひたすらダラダラと登っているうち2時少し前に今日の宿泊先である槍沢ロッヂに到着した。

小屋では、まずビールで乾杯し、持ってきた焼酎などを飲みながら疲れを癒す。
小屋の奥にあるヘリポートからは、樹木の間から槍の穂先がはっきりと見えた。

CIMG3320.jpg

明日は、あそこまで登るのだ。
胸躍る。
しかし、遠いぞ・・・

槍沢ロッヂには、なんと風呂がある。
午後3時から4時50分まで入浴可。
だから行列して入る。男女別だから、女性にも安心だ。
当然、石鹸もシャンプーも使用禁止だが、汗を流せるだけでも本当にありがたい。

風呂でさっぱりして、5時から夕ごはん。
山小屋とは思えないほど、お米がおいしかった。

CIMG3323.jpg

その後も、談話室で焼酎を飲みながら、我々だけでなく、たくさんの山好き仲間と山談義。
これが山小屋の最高の楽しみ。

8時30分 就寝。
下界では考えられない早さだ。


8月9日

4時起床。
実はその1時間ほど前には目が覚めていたが、5時から朝食なので急ぐこともない。
目をつぶって横になっていた。
いよいよ登る槍の穂先を思えば、眠っていられない。

5時から朝食。
スタミナを保つために、どんぶり2杯。

6時に出発。
槍を目指す。

登り始めて1時間半ほど、小雨が降り出した。
仕方なくレインウェアを着る。

高度をどんどん稼げば、槍沢は細り、U字谷の特有の切り立った斜面が迫り、雪渓が現れる。

CIMG3342.jpg

そして一面に高山植物が咲き乱れている。
花好きにはたまらない景色の連続だ。
荒々しく切り立つ岩と可憐な花の対比が面白い。

それにしても、本当に遠いなぁ・・・
槍は、あの奥の山の更に奥だ。

雨は降ったり止んだりを繰り返す。
頂上からの大パノラマが見れるかどうかが心配になる。

雪渓のトラバースや登りもある。恐怖心からへっぴり腰になり、滑って転びそうになっている人もいた。
これは本当に危ない。

天狗原の分岐を過ぎると水場がある。
ここで小休止。

CIMG3352.jpg

水を手で漉くってゴクリ。うまい!
で、もう一杯。ゴクリ。
やぱりうまい!
しかし、痛い!手が痛くなるほど冷たいのだ。
この時期のこのコースは、それほど大量に水を持たなくても、小屋と水場で豊富な水を手に入れることができる、ということがわかった。

この水場を過ぎると、いよいよ槍の穂先の全容が姿を見せる。
いわゆる大槍だ。

CIMG3353.jpg


おー、ヤリノホサキ!
とうとうここまで来て、槍と出会えた感動にしばし浸る。
写真ではガスっていて見えないが、実際は見えたり見えなかったりだった。

さらにキツイ登りが続く。
体力不足を実感。
運動不足もあるが、寄る年波には勝てないということなのか?!

大槍がグングン近づく。

CIMG3364.jpg

なんともデカイ。

槍ヶ岳山荘まで行ってから山荘前でランチの予定だったが、もうお腹が空いたから殺生ヒュッテ横で食べることにする。
リフィル式カップうどん。
お湯を沸かしてその中にぶち込めば出来上がり。
槍をバックに食べれば格別でしょ。

CIMG3365.jpg

ああ、生きかえった。これでまた登り続けることができる。

下を見れば、U字谷がはっきり分かる。

CIMG3368.jpg

更に急な登り。
岩に山荘がある「槍の肩」までの距離がペンキで書かれていた。
それを励みに登る。
そして、やっと槍の肩にある槍ヶ岳山荘に到着した。

CIMG3370.jpg

あと100メートル。
あの岩を登りきれば頂上だ。

まずは槍ヶ岳山荘にチェックイン。
通されたところは、結構、広々とした場所で快適そうな寝床だった。

サブザックにカメラと防寒着だけ持ち、初心者のW君が怖がった場合に備えて簡単なビレイ用のスワミベルト、ロープ、カラビナ、スリングを身につけさせて、いよいよ穂先にアタック。
今、頂上はガスっていて見えないが、眺望はあるのだろうか・・・心配だ・・・

岩場、ハシゴの連続。
しっかり手がかりを掴み、足場を見つければ問題はない。
だが、やっぱりハシゴの手前で渋滞していた。
待ってる間に下からパチリ!

CIMG3372.jpg

はやる心を抑えて最後の垂直ハシゴを登りきれば

CIMG3385.jpg

頂上だ!

CIMG3374.jpg

4度目の登頂だが、またまた眺望無し!
槍は我を見放したか!
天気は人智の及ばぬところだ。
また来いよってことだろう。

槍ヶ岳の頂上は非常に狭い。
そこに、眺望をあきらめきれない登山者が、いまに雲が晴れるのではないかと待ち構えている。
我々も少しだけ待っていた。実際は、そうならない。
しかし時折、雲の切れ間から常念岳や笠ヶ岳が見えた。
それだけでも、儲けものとしよう。

CIMG3381.jpg

下りはハシゴとクサリの連続。
スリル満点。楽しいけれど、落ちるとヤバい。
でも、慎重に降りれば大丈夫。
しかし、ハシゴにしがみつきながら、危なっかしく登る人、降りる人も結構いた。

無事に山荘に戻り、ビア&持ってきたサケトバとか、ナッツで乾杯!
標高3080m地点の山小屋だけに、生ビールは一杯1000円ね。
だから、たくさんはダメよ。
2杯飲んでから、缶ビール350ml(500円)にした。

5時からディナータイム。

CIMG3393.jpg

鳥肉が美味しかった。
それから、スタッフの皆さんが若く、キビキビしていて、明るく、優しく、爽やかだった。
山小屋で働いたことのある若者がウチの会社に来てくれないかな~ と思った。

食事後は、談話室で焼酎を飲みながら、槍ヶ岳のDVDを見たり、山好きの方々とあれこれ話したりしていた。しかし、天気予報を見ながら、意気消沈。
明日はどうやら雨らしい。
熱帯低気圧が台風9号になったということだった。
通常ならば太平洋高気圧がデーンと居座る安定した時期なのに、今年は一体どうしたのだろう。
そんなことを思いながら、疲れと酔いで8時半の消灯とともにすぐに眠った。


8月10日

明け方4時前に目が覚める。
すでに出発の準備をしているパーティーも多かった。
大キレット越えで穂高へ向かう方々なのだろうか?

外はかなり雨が降っているらしい。風もあるようだ。
しかし、急いでも仕方ない。
きょうは上高地に下るだけだ。
2日かかって登った道を、1日で下る。
雨だけに、焦らずに安全に下ろう。

5時から朝食を摂り、6時にはレインスーツを着て出発。
かなりの雨。
新穂高温泉に下る登山道では、沢が溢れて危険な箇所があるらしいという情報が入る。
だから下山口を上高地に変更しているパーティーが多かった。

今回は、スカッ!と晴れなかったなぁ・・・
まあ、また絶対に来ようと誓い、槍ヶ岳を開山した播隆上人が籠ったという岩窟に手を合わせた。
そして昨日の厳しかった登りを、雨の中ズンズン下る。

この日のメインイベントは、徳澤園のラーメン&野沢菜チャーハンだ。
ここに昼前に到着する予定。
実は、これが凄く美味しいということを、昨日の夜、談話室で知り合った女性3人のパーティーに教えてもらったのだった。
それで、もう絶対にこれを昼ごはんとすることにしたわけ。

雨だから写真も撮らず、脇目もふらずに一心に下った。
2時間半かかって槍沢ロッヂ着。
ここでコーヒータイム休憩をとる(インスタントコーヒーが100円!)
雨のせいか、休憩する登山客でにぎわっていた。

横尾まで来れば勾配が緩む。
涸沢からの登山客と槍沢からの登山客が、色とりどりのレインウェアで休憩していた。

CIMG3399.jpg

この頃から少し雨も弱まる。
そして、徳澤に到着する頃、雨はあがった。

それで、徳澤園に直行。
多くの登山客でにぎわっていた。一般の観光客も少しいた。
しかし、残念なことに今日はラーメンは作らないのだそうだ。
客が多いとラーメンを出している時間がないのだろうと推察される。それに、きっと自家製チャーシューが間に合わなかったのではないか・・・
でも、野沢菜チャーハン!
これこれ。

CIMG3404.jpg

うめ~~~よ~

上高地に行ったら、ここまで歩いて、これを食べるべし!
往復約4時間ってところかな。
老後は上高地の帝国ホテルに宿泊し、ここまでチャーハンを食べに来るなんて、最高だね。

雨もあがり、緩やかな下りをピクニック気分で下る。
2日後の激しい筋肉痛のことなど想像もしていなかった。

花(名前はわからないが、たーくさん咲いていた)
CIMG3400.jpg

アサギマダラ
CIMG3408.jpg

おさる
CIMG3412.jpg

明神から梓川の左岸を上高地バスターミナルに向かう。
途中にある上高地ビジターセンターに寄り、携帯電話の電源オン!

・・・・

着信が無数・・・
PCから転送されたメールも無数・・・


いよいよ下山したんだなぁ、と実感。
現実に引き戻される悲しい瞬間だ。

全員、少しだけ電話タイム。

河童橋はたくさんの観光客で賑わっていた。
そして、今回のフィナーレは、穂高の峰々が「また来いよ」とほほ笑んだ。

CIMG3414.jpg

ありがとう槍ヶ岳。
ありがとう上高地。

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槍の登頂、おめでとうございます。
眺望が無かったのが残念でしたね。
私も西穂に登ってきました。お天気はバッチリ。
どこからでも、本当に槍はよく見えてました。

それにしても・・クロスロードさんの山行報告は、
なぜかとても美味しそう。
山でいただけば、また格別なんだろうなぁ・・と想像します。
小屋泊の時の参考にさせていただきます。

山ごはん

山から帰って体重計に乗ると、体脂肪率はかなり減少しています。
しかし、体重は・・・
なぜか増えている・・・
そして数日後には体脂肪率は元にもどり、体重は増えたまま・・・
だからまたダイエット。
健康とダイエットのための山登りが、逆効果。
もう少しストイックにならなければいけないとは思うのですが・・・意思が弱くて・・・
プロフィール

辻本孝良

Author:辻本孝良
東京都中央区で会社経営してますがビジネス関係の記事はほぼありません。
山とか酒とかB級グルメとか阪神タイガースとかの、どうにもならないような記事ばっかりです。

50歳を過ぎているというのに志の低いブログでごめんなさい。

会社のサイトは 

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